凍結保存容器とは、液体窒素を使用して細胞、血液、微生物などの生物試料を凍結保存するための容器です。電気式のフリーザーと比較して、停電時でも一定期間は温度を維持できるため、研究機関をはじめ、大学や医療機関、バイオ、製薬、食品関連企業など、幅広い分野で使用されはじめています。
東日本大震災当時、被災地近隣では電気式フリーザーで保管されていた試料の多くが停電によって使用不能になってしまいました。そのような経緯から厚生労働省および文部科学省では、凍結保存を行う機器を選定する際には、電気式フリーザー以外も検討するよう指導を行っています。また、様々な分野で研究が進んでいる幹細胞の保存についても、液体窒素保存容器(気相)で構成されたシステムであることが、最低要求条件となっています。
■液体窒素容器と電気式フリーザーの比較
液体窒素容器 | 電気式フリーザー | |
---|---|---|
保存温度 | 最大-190℃(気相) -196℃(液相) | -20℃~-85℃前後 |
導入コスト | やや割高 | 比較的安価 |
運用コスト | 液体窒素の 補充が必要 | 電気代のみ |
停電時 | 約10日~2週間は 温度維持が可能 | 温度維持が困難 |
■液体窒素容器の活用が進む分野・領域
●医療機関
・不妊治療 ・再生医療
・臍帯血、血液の保存
・その他、病理検体保存など
●大学
医学部、歯学部、獣医学部、薬学部、
理学部、工学部、栄養学部など
●公的研究機関
理化学研究所、自然科学研究機構など
●民間企業
製薬、食品、化粧品、バイオ、ケミカルなど
●その他、家畜関連